一流の高校留学

「都市は社会の発展の中でのあらゆる問題が反映されている場所。私はそこで特にジエンダー、つまり女性というフィルターを通して見る視点から、都市の在り方を研究していきたいと思っているんです」Wの英文科から一転して社会問題へ「学部はWの一文。英文科でした。全然関係ない(笑)。でも、将来は国際機関で働きたいという夢を持っていたんです。発展途上国の問題に関心がありました。なぜ富める国と貧しい国があるんだろうって、もっと考えたかった」サークル活動で出会う途上国からの留学生と話し、自分が勉強してわかったつもりになっていた価値観と大きくくい違うことにショックを受けることもしばしばだった。
「国連本部でインターンをしたとき、北京女性会議のフォローアップの会合を手伝うことになったんです。実は、私はそれまで、フェミニズムというのは取つつきにくいテーマだと思って、敬遠していました。日本だと、ちょっと、特別にうるさい人たちが騒いでいるって感じで受けとめられていますよね……。」 「セクハラ」で論文を春学期が終わりに近づいたころ、以前テレビ番組で一緒に出演したことのあるアメリカ人ジャーナリスト、A・Hさんが、ブラウンバッグ・レクチャーで話をしに来た。
会ったのはもう10年近くも前のことだったが、Hさんは私のことを覚えていてくれて、講義のあとで日米の文化の違いによる摩擦、特に日本人がアメリカ社会に無理解なために起きる乳蝶について話し合った。 その話の流れで、ちょうどその1年前に、日米のマスコミでともに大きく取りあげられた、M自動車のアメリカエ場で起きたセクシャル・ハラスメントのことが話題に上った。
「あなたも調べてみたら?とても興味深いテーマだと思いますよ」とHさんは勧めた。 そのとき、私ははっきりした返事ができなかった。
実は、事件のことを詳しく知らなかったからだ。 そのころ、私は渡米直前の慌ただしきで新聞も読めなかったし、仕事をやめたばかりで、別にふてくされていたわけではないが、テレビのニュースも見ていなかったのである。
それに何より、自分が離婚騒ぎの最中で、他人のセクハラにまで関心が及ばなかったというのが正直なところだ。 また、日本で「セクハラ」と言ったときの、何ともいえない、からかうような、茶化すような響きが私は嫌いだった。
これは私が問題を軽視しているわけではない。 逆に、本来重大な問題であるのを、あたかも取るに足らない不平不満であるかのように扱う「オトコ社会」と、それに異議申し立てる数少ないフェミニストの意識との深い溝を見せつけられるのがやりきれなかった、という方が正確だと思う。

しかしHさんによれば、アメリカの大新聞の伝え方もまた一方的で、日本の社会や文化への誤解に基づくところが大きいという。

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